失踪宣告制度について
失踪宣告制度とは,不在者が生きているのか死んでいるのか分からないという状態が継続している場合に,これを死亡したものとみなして法律関係を確定する制度です。
利害関係人が家庭裁判所にて手続きをすることで,失踪宣告がなされますと相続が開始し,または婚姻関係が解消されます。
失踪宣告には二種類ありまして,普通失踪と特別失踪とがあります。普通失踪というのは,不在者の生存が最後に確認できた時から7年間の期間が満了することで認められるものです。
特別失踪というのは,不在者の生死不明の原因が,戦争,船舶または航空機による事故,落盤事故や雪崩,洪水などによるもので,その危難が去った後1年間は生きているか死亡しているか不明であるということが要件です。
失踪宣告の効果としては,死亡したとみなされることにより相続が開始し,婚姻していればその婚姻関係が解消します。この効果が発生するのは,宣告時ではなく,普通失踪においては7年の期間満了時,特別失踪においては危難の去った時です。
失踪宣告の手続き
失踪宣告によって直接,財産を得た者は,失踪宣告の取消しがありますと,その財産を返還することになります(民法第32条2項)。この取消しがなされますと,失踪宣告の効果ははじめから生じなかったことになります。
例えば,失踪宣告によって遺産を取得した相続人は,その財産を返還しなければなりませんが,現存利益の範囲で足りるとされています(民法第32条2項但し書き)。
失踪宣告がなされますと,戸籍には,「戸籍に記録されている者・身分事項」の欄に失踪宣告という記載がなされます。
失踪宣告をするには,不在者の住所地の家庭裁判所にて手続きを行います。申立書に添付する書類としては,失踪者の戸籍謄本,附票,申立人の戸籍謄本,失踪を証する資料として戸籍附票,警察署長の発行する行方不明者届出受理証明書,不在者宛ての返送された郵便物,本人が書いた手紙などです。
失踪宣告をした後,公示催告の手続きが行われますが,普通失踪においては6カ月以上,特別失踪では2カ月以上の期間を定めて行われます。
生存しているなどの届出がないまま,公示期間が満了しますと家庭裁判所は不在者に対して失踪宣告をします。失踪宣告の審判が確定した後は、役所にて失踪届を提出します。