相続人が行方不明である場合、失踪宣告や不在者財産管理人選任の手続きを検討します。
不在者というのは、従来の住所または居所を去ったまま、帰って来る見込みのない者をいいます。
例えば、急にいなくなり蒸発してしまった人、家出して行方が分からない、連絡も取れず生きているのかどうか分からないといった場合です。
不在者財産管理人制度は,不在者に財産管理人がいない場合に,相続人などの利害関係人から家庭裁判所へ申立をすることにより,不在者財産管理人が選ばれ,不在者の財産を管理・保存する制度をいいます。
例えば,不在者財産管理人は,行方不明になった相続人に代わり家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,不在者に代わって,遺産分割,生命保険の受領、空き家対策、不動産の売却等を行うことができます。
共同相続人の中に不在者がいる場合、不在者財産管理人が代わりに遺産分割協議に参加することができます。ただし、家庭裁判所の許可が必要となってきます。
相続放棄についても、例えば負債がかなりあるという場合、家庭裁判所から権限外の行為許可を得たうえで不在者財産管理人が行います。
不在者財産管理人を選任するには、申立書を作成して管轄の家庭裁判所に申立てをすることになります。この場合、居所が不明となれば、最後の住所地が管轄となります。
不在者財産管理人選任申立
1.申立人 利害関係人(不在者の配偶者,相続人にあたる者,債権者など)や検察官
2.申立先 不在者の従来の住所地又は居所地管轄の家庭裁判所
3. 申立てに必要な書類
申立添付書類
・ 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
・ 不在者の戸籍附票
・ 財産管理人候補者の住民票(本籍記載)又は戸籍附票
・ 不在の事実を証する資料(具体的には、警察署長の発行する行方不明者届出受理証明 【従来の捜索届】や不在者宛ての返送された郵便物などです。)
・ 財産目録の内容を証明する資料(不動産登記事項証明書,預貯金通帳や残高証明書等)
・ 申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),賃貸借契約書写し,金銭消費貸借契約書写し,遺言書等)