成年後見等の事件終了

成年被後見人等(本人)が死亡すると,後見等は終了することになり,本人の財産は相続財産となります。成年後見人等は,法定代理権などの権限を喪失するからです(代理権の消滅事由・民法第111条第1項,委任の終了事由・第653条第1号)。
親族に連絡し,ご遺体を引き取ってもらい,安置の手配を行ってもらいますが,急迫の事情がある場合を除いて成年後見人等であった者は死後事務を行えないと考えられます。

しかし,ケースによっては応急処分義務に基づき、成年後見人等が行わざるをえないことがあります。
※民法第874条により民法第654条の準用(委任が終了した場合において,急迫の事情があるときは,受任者又はその相続人若しくは法定代理人は,委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで,必要な処分をしなければならない。)。
事務管理(民法第697条1項)
成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限(民法873条の2)

平成28年の改正法では、成年後見人は必要があるとき、相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、死後事務としてできるものが規定されています(民法873条の2)。ご親族が死後事務をされるのであれば、適用はありません。なお、保佐人及び補助人については規定されていません。

この規定のうち、死体の火葬又は埋葬に関する契約その他相続財産の保存に必要な行為については、家庭裁判所から許可をもらいます。ただし、土曜日、日曜日にご本人がお亡くなりになられることもあるため、事後申立てになるケースもあります。火葬は、原則として、死亡から24時間経過しなければ行えないとされています(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

なお,葬儀や火葬が終了すると,精算,終了の報告を行い,後見人等は管理していた財産を計算し,後見終了登記の申請や相続財産の引渡しなどの諸事務を行っていきます。
相続財産は,遺言があればそれに従い,遺言執行者または受遺者に引渡します。
もし遺言がないのであれば,相続人全員に引渡すか,相続人全員の意思に従ってその中の一人に引渡します。この際、財産引継書を受領します。

相続人が存在していたとしても,相続財産の引渡しが事実上困難な場合は,相続財産管理人の選任申立てを行い,その相続財産管理人に引渡します。