株式会社では,社員のことを株主といいますが,合同会社では有限責任社員のことをいいます。
社員には自然人だけでなく法人もなることができます。
そして,自然人は,持分会社の無限責任社員及び有限責任社員となることができますし,例え,制限行為能力者であっても構いません。
ただし,後見開始の審判は社員の法定退社事由ですが,被後見人であっても社員になることができます。また,定款で別段の定めを決めることもできます。
持分会社の社員は,その持分を社員以外の者へ譲渡しますとその譲受人が社員となります。合同会社では,加入する社員が業務執行社員であると登記をすることになります。
社員は,定款に別段の定めがある場合を除き,業務を執行します。
そして,社員が二人以上であれば持分会社の業務は,定款に別段の定めがある場合を除き,社員の過半数をもって決定します。
代表社員については,三つの定め方があり,定款によって代表社員を定める方法と定款に基づく社員の互選で決める方法,定款に定めがなければ各自が代表します。
社員は未成年者であってもよく,登記されるのは業務執行社員と代表社員であり,業務執行社員は氏名,代表社員は氏名または名称,住所が登記事項とされています。
社員の法定退社事由には,破産手続開始の決定,解散,後見開始の審判などあるがこれらによって退社しないという旨で定款を定めることができます。
また,社員が死亡した場合も相続人がその持分を承継するとの定めを設けることができますが,もしこの定めがなければ一人の社員の会社である場合,死亡することで合同会社が解散ということになります。
高齢の方が起業して一人で代表社員となる合同会社では特にこの規定には注意した方がいいです。もし会社が軌道に乗ったころに代表社員が亡くなったとなると,会社が解散となってしまいますので。
宗教法人概要
宗教法人は大小さまざまなものがありまして,宗教法人法の規定によって法人格をもった宗教団体のことをいいます。
ところで,日本における宗教団体としては,神道系では神社神道系,教派神道系,新教派系とあり,仏教系には天台系,真言系,浄土系,禅系,日蓮系,奈良仏教系,その他とあって,キリスト教系には旧教,新教など22万を超す団体があるといわれています。
宗教法人法1条では,宗教団体が礼拝の施設その他の財産を所有し,これを維持運用し,その他その目的達成のため業務及び事業を運営することに資するため,宗教団体に法律上の能力を与えることがその目的とされています。
宗教法人となるためには礼拝施設が必要で,境内建物には本殿,拝殿,本堂や会堂,僧堂,僧院,信者修業所,社務所などで,境内地としては,境内建物が存する一画の土地,参道として用いられる土地,宗教上の儀式行事を行うために用いられている土地などがあります。
なお,宗教法人を設立したり,規則を変更したり,合併,解散をするには所轄庁の認証が必要となります。
宗教法人の所轄庁には,主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事,または次に掲げる宗教法人については文部科学大臣となっており,これには①他の都道府県に境内建物を備えるか,①以外の宗教法人で①の宗教法人を包括するもの,これら以外で他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人となっています(宗教法人法5条)。
宗教法人の機関としては,必ず3人以上の責任役員を置き,そのうちの一人を代表役員とします。責任役員の選任に関する規定はないため,各自宗教法人の規則によって選任がなされます。規則に別段の定めがなければ,宗教法人の事務は責任役員の定数の過半数で決し,その責任役員の議決権は各々平等となっています。
宗教法人には,代表役員や責任役員が欠けた場合や病気などで長期間職務を行えない場合に,その代行機関として代務者が設置されます。代務者は,規則で定めるところにより,代表役員又は責任役員に代わってその職務を行います。
他に任意機関を置くことができ,氏子総会や檀徒総会等の信者の総会,総代会,宗議会など規則にて定められます。
このように,宗教法人の機関としても株式会社や持分会社とは異なった構成となっています。
電子公告
会社は,株主その他の利害関係人に対して重要事項を周知する必要があります。その方法として公告があります。
公告方法については,定款に記載するか任意であるため,記載しないこともできますが,その場合,官報による公告方法となります。
この場合,公告方法は登記しなければならないため,官報による旨を登記することになります。株式会社の公告方法としては以下の三つがあり,いずれかを定款に定めることができます。
1. 官報に掲載する方法
2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
3. 電子公告
官報に掲載する方法と日刊新聞紙に掲載する方法とでは,費用的には官報に掲載する方法が安いといえます。電子公告についてはホームページがあれば上記1と2に比較して費用も安くなります。
電子公告による場合,登記申請をして,適法に公告されているかどうか電子公告調査機関に調査を委託します。会社から調査を委託された電子公告調査機関は,定期的にホームページを調査して結果を記録した調査報告書を会社に通知します。
そして,公告が必要な登記の際には,この調査結果通知が,公告をしたことを証する書面として添付されることになります。
この電子公告を公告方法とする場合,事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合として,上記1又は2のいずれかの公告方法を定款に定めることができます。
なお,定款で公告方法を定めている場合であっても,資本金の額の減少など債権者保護手続きを行う場合は官報による公告を行うことになります。