訪問販売によるトラブル

 高齢者の消費者トラブルでは訪問販売による被害も多いとされています。

 訪問販売とは、「営業所、代理店その他の経済産業省令で定める場所以外の場所で行われる取引」と「特定顧客」との取引をいいます。

 店舗以外の場所での販売で、自宅への訪問や押し売りがあり、また「特定顧客」に該当すれば訪問販売に該当します。特定顧客との取引とは、販売目的を隠して近づいてきて別の場所へ案内し契約させるパターンです。キャッチセールスやアポイントメントセールスがあります。

 かつては、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売では商品、役務、権利は政令で指定したものに限られていましたが、現在では訪問販売において全ての商品、役務が規制対象となるのが原則です。

 ただし、「権利」については、訪問販売の対象になるのは「特定権利」に限定されます。

 保養施設、スポーツ施設を利用する会員権や映画、演劇など鑑賞する権利(チケット)などや社債その他の金銭債権、株式などが挙げられます。

 訪問販売によりトラブルに巻き込まれたとしてもクーリングオフを行使することで申込みの撤回または契約の解除をすることが可能です。

 訪問販売の場合、クーリングオフすることができる期間は、申込書面や契約書面といった法定書面を受け取って8日間ですので、法定書面の交付がなければ起算日が開始しないこととなります。

 また、法定書面が交付されたとしても、その内容を確認してみると販売業者の氏名が記載されていなかったり、商品名の記載が無かったりなど不備が見つかることがあります。

 法定書面の記載事項に不備があれば、クーリングオフの起算日が開始しないので、8日が経過していたとしてもクーリングオフの可能な場合がありますのでよく確認してみることが必要です。

 特定商取引法では、訪問販売、電話勧誘販売により通常必要とされる分量を著しく超える商品の購入をした場合、売買契約を解除できると定められています。

 これは過量販売解除権といいクーリングオフの行使期間が経過していたとしても契約締結日から1年以内に契約の解除ができます。

 事業者が過量であることを認識していたことが必要ですが、1回の取引で過量になる場合は主観的要件は不要です。

塀の共有(境界関係)

隣地の建物と自身の所有地の建物との間に堀が無ければ、費用を半分ずつ負担するよう請求はできます。ただし、半分ずつの負担とするには相手と協議して協力してもらう必要があり、協力してくれないのであれば、裁判所に訴訟を提起しなければ費用を負担してもらうのも困難と思われます。

 また、隣家の承諾がなければ、原則として高さ2メートル以内の板堀か竹垣とするとされています。

 高さ2メートルを超えてアルミフェンスやブロック堀を設置する場合、増額した分は建築した者が負担しなければならないとされています。

 もし、相手方の協力が難しいのであれば、自己所有の敷地内に自己負担にて塀を設置することはできます。

 この場合、隣家の日照、通風、眺望を著しく阻害しないよう気を付ける必要があります。

敷金問題

 敷金というのは、建物の賃貸借契約に際し、賃借人の賃料支払いの債務等を担保するため、家主である賃貸人に交付される金銭です。つまり、賃貸借契約終了後の明渡しの後に、賃料の未払分や修繕費を引いて戻ってくるお金です。

 また、敷引金とは、敷金の一部を返還しないとする特約によるお金です。更新料とは、賃貸借の契約を更新する際に賃借人から賃貸人に交付されるお金で、賃貸人が返さなくていいものであるといわれています。

 事務所や店舗の場合、保証金という名目で授受されることもありますが、その内容としては敷金です。

 敷金返還の問題となるのは、賃貸物件の損耗に関する原状回復の範囲とその費用を賃貸人と賃借人とでいずれが負担するかが争点となります。

 原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値減少のうち、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗、毀損を復旧することと定められています。

 建物やその設備というのは、通常は時間の経過とともに劣化、損耗しますが、これは経年変化であり、原状回復義務には含まれないとされています。

 ただし、賃借人の故意、過失や善管注意義務違反によって、通常の損耗を超える部分については賃借人が原状に戻して賃貸人に返すべきとされています。

 原状回復費用は敷金によって充当され、他にも賃貸借契約終了時の賃料不払いや明渡しまでの損害金についても担保されます。

 敷金返還を検討する場合は、まず賃貸借契約の内容を確認するところから始めます。原状回復に関する特約の内容がどうなっているかやクリーニング費の負担など確認していきます。

 また、いつから入居しているかといった賃貸期間も確認し、特別損耗にあたる場合でも賃貸期間に応じて負担が軽減されることがあるため、確認しておく必要が有ります。