賃貸借契約のうち、建物を目的とするものは借家契約といいます。借家というのは、そこに住む人にとっては生活をするうえでとても重要なものです。
そこで、借りている人が不利益を受けないように借地借家法が定められています。借地借家法では、一定の条件について賃借人に不利な内容の契約は無効となっています。
なお、借地借家法では、当事者間の約束でこれと違う定めができないという強行規定があります。
(1)更新しない旨の通知を貸主から借主に対して期間満了の1年前から6カ月前までの間に送らなければ法定更新が成立するという規定。
(2)賃貸人は賃借人に対して期間満了後、借主が建物の使用を継続していれば異議を述べていないと法定更新が成立するというもの。
(3)賃貸人が解約の申入れをした場合、解約申入れ日から6カ月の経過によって借家契約は終了するというもの。
(4)更新しない旨の通知及び解約の申入れには正当事由が必要という規定。
(5)賃貸借期間を1年未満とする建物賃貸借は期間の定めがない賃貸借契約とみなすというもの。期間の定めのない借家契約となると、いつでも賃貸人から解約の申入れができる契約で解約の申入れには正当事由が必要となります。
上記以外にもありますが、借家の契約では、このように強行規定があり、契約期間については1年以上で決めておくとその期間の満了によって終了します。
もし、賃貸人と賃借人との間で契約を更新するとの合意ができれば、借家契約も更新できます。
更新についてはお互いの合意による合意更新と法定更新があります。
期間満了の1年前から6カ月前までの間に、賃貸人が賃借人に対し、更新をしないことを通知しなかった場合、借家契約は前と同じ条件で更新されたものとみなされます。この更新の拒絶には正当の事由が必要となります。(借地借家法26条、28条:法定更新)。
また、更新拒絶の通知をしていても期間終了後、賃借人が建物の使用を継続していて遅滞なく異議を述べなければ法定更新されます。
法定更新ですと、賃貸人はいつでも解約の申入れをすることができることになります。これは期間というものがなくなるため、契約の更新というものがなくなるからです。解約申入れから6カ月経過すると契約は終了することになりますが、その後も借主が建物の使用を継続しているときには、貸主は遅滞なく異議を述べなければならないとされています。
合意更新と法定更新ともに、解約を申し入れるならば正当事由が必要となります。