内縁関係の社会保険制度
社会保険において,内縁であっても婚姻関係と同様の状態であれば,通常の婚姻関係と同一の保障が受けられるとされています。なお,社会保険とは異なり,税制上の配偶者控除や配偶者特別控除を受けるには,法律上の婚姻した配偶者でなければ適用されません。
また,成年後見等開始の申立人として配偶者が規定されていますが,内縁ですと申立人になれません。
ところで,会社員であれば,社会保険に加入していない会社は別として,一般的に厚生年金と健康保険に加入できます。
社会保険に加入している被保険者によって生計を維持されている内縁の相手方が,社会保険上の扶養と認められれば,社会保険制度を利用することができます。
社会保険制度を利用できれば,追加の保険料を負担せずとも,健康保険を利用でき,国民年金の第3号被保険者となれるなどメリットは大きいです。
社会保険上の扶養として認められるためには,主たる収入を得ている相手方によって生計を維持されていること,扶養される人の年収がその相手方の半分未満であること,将来において見込みの年収が130万円未満であることといった要件が必要です。
この場合,夫婦としての共同生活を営んでいるという内縁関係を証明する書類が必要です。世帯が同一であることを証明する住民票写しの原本,法律上の配偶者がいないことを証明する戸籍謄抄本が必要となります。
ただし,内縁であって上記の要件を満たせば,社会保険の扶養に加入できるというわけではなく,重婚的内縁でないということも必要です。原則としては,相手方の一方に既に法律上の配偶者が存在しますと社会保険の扶養には加入できないとされています。そうとはいっても,法律上の配偶者との婚姻関係が既に破綻しているようなケースなどは認められることもあるようです。
内縁関係の成立には,婚姻意思が必要とされており,解消するには当事者間の合意や共同生活の終了,当事者の死亡があります。当事者の死亡とありますが,内縁の配偶者には相続権が認められていません。