振り込め詐欺救済法

 身に覚えのない架空請求では,相手がどこの誰かも分からず請求されます。そして,他人名義の銀行口座を使っていることが多いため,不当利得返還請求や損害賠償請求をするにしても被害の回復が困難な状況となります。
 そこで,振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)により,金融機関の口座に振り込まれている被害金を被害者に支払うという制度があります。この制度の対象は,振り込め詐欺に限らず,ヤミ金融,出会い系サイトによる詐欺やパチスロ詐欺など他の犯罪に利用された場合にも及びます。
 そして,詐欺などの犯罪収益金が振り込まれた口座があった場合,警察と銀行に通報することで口座を凍結してもらい,預金債権者の権利を消滅させ,お金が引き出されるのを防止して被害金を取り戻すことも可能となります。
 手続の流れとしては,被害者の方が警察と金融機関に対して申し出をして,預金保険機構が犯罪に利用された口座をホームページによって公告します。被害に遭った方は,その口座がないかどうか確認します。そして,対象の口座がありましたら,振込先の金融機関にて手続の申請をします。
 口座凍結後は,強制執行や仮差押え,払戻しを求める訴えなどがない限り,金融機関が所定の手続きを行い,権利消滅の公告が行われます。
 支払額は,口座残高や被害者の数によって異なってきます。被害者の数が複数であれば,振込金額に応じて按分されて支払われます。そのため,口座残高が被害金総額よりも少ないとなると,被害金額の全額が支払われない場合もあります。
近年は,この制度により口座を凍結されないよう,宅配便を使って現金を送るよう指示したり,直接現金を受け取りに来たりするといった方法も取られています。そうなると,被害金の取戻しも困難なものとなってきますので,注意することが必要です。

 

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