自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書してこれに押印することで成立する遺言です。証人の立会も不要で、自分だけで作成することができ、他人に知られることも無いという反面、紛失したり偽造、変造されるおそれもあります。
作成の際には、全文を自筆にてボールペンやサインペンなど使用して、鉛筆は改竄されるおそれもあるため使用は避けましょう。
タイトルとしては「遺言書」や「遺言」と記載し、作成年月日は必ず記載して署名をし、必ず押印をします。押印が無いと無効となりますが、この印鑑は認印でも構いません。
用紙についても自由で、破れやすい素材は避けるようにします。もし、用紙が複数枚になる場合、全体が一通の遺言と分かるのであれば、契印はしなくとも有効ですが(最高裁昭和37年5月29日判決)、契印をしておいた方がいいでしょう。
財産の記載は、土地や建物といった不動産であれば、登記事項証明書の内容を記載します。預貯金は、銀行名や支店名、普通預金か定期預金かといった預貯金の種類、口座番号などを記載して特定します。
遺言によって遺産の全部又は一部を他人に贈与することを遺贈といいます。遺言は、原則として遺言者が死亡したときに効力が生じますので、例えば、不動産について遺贈がなされたとしますと、遺言者の死亡によって受遺者はその権利を取得することになります。
遺言において、遺言執行者を指定することもできますが、遺言執行者は相続人の代理人として相続財産を管理したり、遺言の執行に必要な行為をします。そのため、遺言において不動産の遺贈がなされていますと、遺言執行者が選任されていてば、その者が遺贈による所有権移転登記を受遺者とともに共同申請によって行います。
なお、受遺者を遺言執行者に選任することもできますが、これは自己契約にあたるかどうかといいますと、遺言の執行は債務の履行ですから、相続人にとって不利益にあたるものではないため、自己契約にはあたらないとされています。
もし、被相続人の配偶者及び1親等の血族以外の者が、相続や遺贈によって財産を取得しますと、相続税は算出税額の2割加算となります。