司法書士は,実務を行う際に本人に代わり,戸籍謄本等を取得することがあります。司法書士や司法書士法人による戸籍謄本等,住民票の写し等の請求には1号様式を使用するものと2号様式を使用するものがあります。1号様式は職務上請求書と呼ばれ,登記業務などで必要な戸籍を取得し,2号様式は固有権限等請求書を呼ばれ財産管理人になった場合などに使用します。これらは,戸籍法及び住民基本台帳法を根拠としています。
2号様式を使用する場合,その権限を証明する選任審判書や登記事項証明書等をセットにして請求します。
公正証書遺言により父から子へ相続による所有権移転登記を行う際に,依頼者である子から相続登記に必要な戸籍謄本等の他,父の相続関係が分かる戸籍謄本等の取得を請求された場合,職務上請求書を使用してこれら戸籍謄本等の交付を請求できるかという問題があります。
この場合,登記手続きに必要な戸籍謄本等以外のものを取得するために職務上請求書を使用して戸籍を請求することはできないとされています。
父から子への遺言に基づく相続登記の場合,必要最低限な戸籍謄本等としては,父が死亡した旨の記載がある戸籍謄本と遺言者である父との相続関係が分かる子の戸籍であるため,被相続人の戸籍謄本等を出生時にまで遡って取得する必要はありません。それ以外の戸籍謄本等については不要であるということになります。ですから,遺言による相続登記の場合,遺産分割協議書による相続登記と比べて必要書類は少なく済むことが多いです。