寄与分というのは,昭和55年改正で新設された制度で,被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人に認められる権利です。寄与分の割合は,相続人間の話し合いや家庭裁判所の調停または審判によって決められます。相続人間の話し合いにより決めるとされていますが,寄与分について考慮することなく遺産分割をしたとしても,その効力に影響はありません。
寄与分を決める場合,遺産分割協議によって話し合いをして具体的な遺産の分割方法を決めるための前提条件として協議が行われることがあります。
寄与分権利者は,共同相続人でなければならず,内縁の妻など寄与分を受けることができないものもいます。
寄与分権利者に寄与分を定めた場合,遺産全体から寄与分に相当する金額を引き,残りの遺産について共同相続人間で話し合いを行い,それぞれの相続人の取得する遺産を決めます。そして,先ほどの寄与分として差し引いた金額を,寄与分権利者の遺産に加えたものが取得する遺産となります。
もし,相続による不動産の名義変更(相続登記)をする前に,寄与分が定められた場合はというと,その寄与分を前提として相続分に従って,相続登記を行います。この場合,登記原因証明情報に寄与分を定めた協議書(印鑑証明書付き)を添付します。
相続登記後に寄与分が定められたならば,相続登記を更正登記によって寄与分を反映した登記とします。
なお,代襲相続人は,代襲原因を問わず,被代襲者の寄与を主張することができるとされています。