相続放棄と未支給年金

 相続放棄は、その亡くなった方の相続について初めから相続人でなかったことになる手続きですが、単純承認といいまして相続財産を使い込んだり、一定の行為をしますと、相続放棄ができなくなってしまうため注意が必要です。

 それでは、遺族が未支給年金の請求をした場合はどうでしょうか。未支給年金とは、年金受給権者が亡くなった場合に、その者に支給すべき年金がまだ支給されていない場合、一定の遺族に支給されるものです。

 この場合ですが、未支給年金を請求したとしても単純承認とはされず相続放棄は可能です。未支給年金を請求するのは遺族固有の権利であって、被相続人の権利ではないからです。

 生命保険金についても同様に、保険契約上で受取人が指定されていれば、その受取人が相続人であってもその方の固有の権利であるため、相続財産の処分ではなく相続放棄は可能です。

 未支給年金は国民年金法19条によって、自己の名でその未支給の年金の支給を請求できるとあり、相続とは関係なく遺族が受給できるものです。

 そのため、未支給年金を受け取ったとしても単純承認とみなされず相続放棄を行うことができるのです。