配偶者居住権とは、例えば、自宅を所有する夫が死亡した場合に妻が引き続き自宅に住むことができるという権利です。亡き妻が自宅を所有していた場合ですと、夫が引き続き自宅に居住することができる権利ということになります。
配偶者居住権は、自宅を相続できなくても自宅に住むことができる権利で法定債権とされています。自宅に住む権利を居住権とし、売却など処分できる所有権と分けたうえで配偶者に自宅に住める法定債権を認めたものです。
この制度は、配偶者に住み慣れた住居に、そのまま生活を続けてもらうための居住権を確保しつつ、生活していく資金についても相続できることを目的としています。
配偶者居住権は、配偶者短期居住権と配偶者居住権とに分類され、配偶者短期居住権は、遺産分割協議で建物の帰属が確定するか相続開始から6カ月経過するまでのどちらか遅い日まで居住の権利が保護されます。
配偶者短期居住権が、相続開始時から遺産分割協議の成立までの居住権を設定するのに対して、配偶者居住権については、遺産分割協議成立から終身までの長期的な居住権を確保することを目的としています。
配偶者居住権の第三者への対抗要件としては登記とされており、占有は対抗要件とされていません。つまり、第三者に配偶者居住権を主張するには配偶者と建物の所有者とが共同して登記の手続きをする必要があります。