自筆証書遺言で手続きを行うには、家庭裁判所で検認の手続きをする必要があります。
検認とは,遺言書の形式,存在を確認して偽造及び変造を防止するための家庭裁判所の手続をいいます。
公正証書遺言以外の遺言書の保管者等は,相続の開始を知った後,家庭裁判所に対して検認の請求をしなければならないとされています。
この検認をしなかったとしても遺言書自体が無効となるわけではなく,また逆に検認をしたからといって無効であった遺言書が有効となるわけではありません。
あくまで,遺言書の存在を確認し,偽造,変造を防ぐための一種の証拠保全手続とされています。
検認の請求手続としては,家事審判申立書に検認をする旨を記載して管轄の家庭裁判所に提出します。
そして、検認期日の指定、通知があり、その期日に家庭裁判所にて検認が実施されます。それから、検認済証明書付の遺言書を受領します。
なお,封印のある遺言は,開封をするには相続人またはその代理人の立ち合いが必要となりますので、開封せずに家庭裁判所へ持参します。
相続が開始したとして,亡くなった人が遺言書を残していた際には,公正証書遺言以外の遺言の場合,この検認手続を経ていなければ相続登記の登記原因証明情報としての適格性を欠くことになります。
なお、令和2年7月10日に施行される法務局における遺言の保管等に関する法律により法務局で保管されている遺言は検認の必要がなくなります。